変形性股関節症や臼蓋形成不全等の股関節疾患がなぜ女性に多いの?
2016年08月8日

1. 骨盤の形状の違い:
- 女性は男性に比べて骨盤が広く、股関節の受け皿となる臼蓋(きゅうがい)が浅い傾向があります。
- このため、大腿骨頭(だいたいこっとう)を十分に覆いきれず、股関節にかかる負担が大きくなりやすいです。
- 特に臼蓋形成不全は、臼蓋が小さく大腿骨頭のはまりが浅い状態であり、女性に多く見られます。これが変形性股関節症の最大の原因の一つとされています。
2. ホルモンの影響:
- 女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨や関節の健康維持に重要な役割を果たしています。
- 閉経を迎えるとエストロゲンの分泌量が減少し、骨密度の低下や関節軟骨がすり減りやすくなることがあります。
- 妊娠や出産に伴うホルモンバランスの変化も、関節や靭帯に影響を与える可能性があります。妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンは、骨盤周りの靭帯を緩めるため、股関節に負担がかかりやすくなります。
3. 姿勢や生活習慣:
- 女性は、男性に比べて股関節を大きく開くような姿勢(例えば、あぐら)をとる機会が少ない傾向があるかもしれません。横座りなど、特定の座り方が股関節に負担をかける可能性も指摘されています。
- 股関節の柔軟性が低いと、関節への負担が増し、痛みを引き起こしやすくなります。
4. その他の要因:
- 遺伝的な要因も指摘されています。家族に股関節疾患を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。
- 体重増加や肥満は、股関節への負担を増大させ、変形性股関節症のリスクを高めます。
- 過去の股関節の怪我や病気(例えば、先天性股関節脱臼)も、変形性股関節症のリスク因子となります。
このように、女性の骨格的な特徴、ホルモンバランスの変化、生活習慣など、様々な要因が複合的に関与して、股関節疾患が男性よりも女性に多く発症すると考えられています。