関節が痛い(炎症反応)ってどうなっているの?
2021年02月3日

関節の痛み(炎症反応)は、本来は体を守るための免疫反応ですが、関節で過剰に起こると痛みや腫れ、機能障害を引き起こします。
具体的には、以下のようないくつかの段階を経て進行します。
- 炎症の開始: 何らかの原因(自己免疫疾患、感染、外傷、代謝異常など)により、関節の組織が刺激を受けます。
- 血管の拡張と透過性の亢進: 刺激を受けた部位の血管が広がり、血管壁の透過性が高まります。これにより、血液中の血漿成分や白血球などが関節組織へ漏れ出します。これが、関節の腫れや熱感の原因となります。
- 炎症性物質の放出: 漏れ出した白血球や、関節組織の細胞から、ヒスタミン、プロスタグランジン、サイトカインなどの炎症性物質が放出されます。これらの物質は、痛みの神経を刺激したり、さらなる炎症を引き起こしたりします。
- 滑膜の肥厚と炎症細胞の浸潤: 慢性的な炎症では、関節の内側を覆う滑膜が厚くなり(滑膜肥厚)、リンパ球やマクロファージなどの炎症細胞が滑膜や関節液の中に増えていきます(炎症細胞の浸潤)。
- 軟骨や骨の破壊: 炎症が長引くと、滑膜から放出される酵素や炎症性物質が、関節の軟骨や骨を徐々に破壊していきます。これにより、関節の変形や機能障害が進行します。
関節の炎症の種類によって、これらの過程の程度や関与する細胞、物質などが異なります。例えば、
- 変形性関節症: 主に軟骨の摩耗が原因で、炎症は比較的軽度です。
- 関節リウマチ: 自己免疫疾患であり、免疫システムが誤って自分の関節組織を攻撃することで、強い炎症が起こります。
- 痛風: 尿酸の結晶が関節に沈着することで、急激な炎症が起こります。