なぜ脊柱管狭窄症になるのか?:加齢だけじゃない!隠れた原因と生活習慣
2025年07月5日

はじめに
「脊柱管狭窄症って、結局は年を取るとなるんでしょ?」 そう思っている方も多いかもしれません。確かに加齢は大きな要因の一つですが、実はそれだけではありません。日々の姿勢や生活習慣、そして体の使い方など、さまざまな要素が複雑に絡み合って発症することが多いのです。
今回は、「なぜ脊柱管狭窄症になるのか?」という疑問に、具体的な原因を掘り下げて分かりやすく解説していきます。ご自身の生活を振り返りながら、理解を深めていきましょう。
脊柱管狭窄症のメカニズム:神経の通り道が狭くなる
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る「脊柱管」という神経のトンネルが狭くなり、その中を通る神経が圧迫されることで症状が起こります。このトンネルが狭くなる原因は主に以下の3つです。
- 骨の変形(骨棘の形成)
- 椎間板の変性・突出
- 靭帯の肥厚
これらの変化が、脊柱管を狭める主な要因となります。では、なぜこれらの変化が起こるのでしょうか?
脊柱管狭窄症の主な原因
1. 加齢による体の変化(最も一般的な原因)
年齢を重ねるにつれて、私たちの体には自然な変化が起こります。
- 椎間板の変性: 椎間板は、背骨の骨と骨の間にあるクッションのようなものです。加齢とともに水分を失い、弾力性が低下して潰れたり、後方に飛び出したりすることがあります。これが脊柱管を狭める原因になります。
- 骨の変形(骨棘): 骨は、負担がかかる部分で新しい骨を作って補強しようとします。これにより、骨の一部がトゲのように飛び出す「骨棘(こつきょく)」が形成されることがあり、これが脊柱管内に突き出して神経を圧迫します。
- 靭帯の肥厚・骨化: 背骨を安定させる役割を持つ靭帯も、加齢や慢性的な負担によって厚くなったり、石灰化して硬くなったりすることがあります(特に黄色靭帯の肥厚・骨化)。これも脊柱管を狭める原因となります。
これらの加齢による変化は誰にでも起こりえますが、症状が出るかどうかは個人差が大きいです。
2. 不良姿勢と身体の歪み
「猫背」や「反り腰」など、日常的な不良姿勢は、特定の背骨に過度な負担をかけ続けます。
- 腰への負担集中: 特に腰椎(腰の部分の背骨)は、体の重みを支え、日常の動作で常に大きな負担がかかります。悪い姿勢は、この負担をさらに増大させ、椎間板や靭帯、骨の変性を早める原因となります。
- 体の歪み: 骨盤の歪みや、左右のバランスの悪さなども、腰椎に偏った負荷をかけ、脊柱管狭窄症のリスクを高める可能性があります。
3. 生活習慣と職業による負担
- 長時間の同じ姿勢: デスクワークで座りっぱなし、立ち仕事で立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢を取り続けることは、腰への血流を悪化させ、疲労を蓄積させます。
- 重い物を持つ作業: 介護職や運送業など、頻繁に重い物を持つ作業は、腰椎に大きな負担をかけ、椎間板の損傷や骨の変性を促進する可能性があります。
- 運動不足と筋力低下: 体を支える体幹の筋肉(インナーマッスル)が衰えると、背骨への負担が増大します。特に腹筋や背筋のバランスが悪いと、腰椎への負担が大きくなります。
- 肥満: 体重が増えすぎると、腰椎にかかる負担が大きくなり、脊柱管狭窄症のリスクを高めます。
4. 過去の怪我や病気
過去に腰椎の骨折やヘルニアなどの怪我や病気を経験している場合、それが原因で脊柱管が狭くなり、後年になって脊柱管狭窄症の症状として現れることがあります。
重要なのは「早期の気づきと対策」
脊柱管狭窄症は、単に「年だから仕方ない」と諦める病気ではありません。加齢による変化は止められませんが、姿勢や生活習慣を見直すことで、症状の進行を遅らせたり、軽減したりすることは十分に可能です。
もし、ご自身の生活習慣に心当たりがある、または腰や足の症状に不安を感じている場合は、一度専門家にご相談ください。当院では、あなたの体の状態や生活習慣を詳しくお伺いし、脊柱管狭窄症の根本的な原因にアプローチする施術と、日常生活でのアドバイスを提供しています。